2017/09/25

Voice Assistantたちの国境、という話

便利ですよ、実際のところ

Amazon Echo Dot、Alexa対応スピーカーの最廉価なモデル。定価でも$49.99、セールだと$30とかで買えたり。
出典:Amazon Press Roomより


日本でもスマートスピーカーが徐々に立ち上がりつつありますね。ここカリフォルニアはサンフランシスコも、2年ほど前からでしょうか、スマートスピーカーが盛り上がってきています。

私もAmazon Echo Dotをとある方からプレゼント頂いたのと、Android端末であるGalaxy S6 EdgeのGoogle Assistant、iPhoneのSiriとそれぞれ三つとも使っています。まだまだ「使いこなす」レベルではないですが、以下のようなシーンで活躍しています。



  • 毎朝、起きてすぐ、洗面所に置いたEcho Dotに「Alexa、今日のサンフランシスコの天気は?」と「Alexa、今日の予定は?」
  • 通勤のクルマにて「Ok, Google. 駅までのナビして」「Ok, Google. 道は混んでる?」
  • 仕事中に「Siri, ○○に電話して」「○○にFaceTimeして」



まぁ、最後のは手で打ってもさしたる手間はないんですが、朝の天気予報、予定確認、それにクルマの中での完全ハンズフリーは本当に快適です。慣れてくると、逐一キーボードで打つのが面倒に感じるくらいに。特に誤打の修正が面倒なスマホですから、英語の発音をちょっと頑張る方がまだマシに感じます。


一方で、音声だけでできることには限界があるのもまた真実。特に感じるのは、各「帝国」の「国境」の存在。今回のブログエントリでは、この「国境」について問題提起してみたいと思います。


私が感じた「国境」とは


ここでいう「帝国」とは、Google、Apple、Amazonのそれぞれのエコシステムというか、それぞれの世界を指しています。
例えばGoogle帝国にはAndroidスマートフォンがあり、Google Mapsがあり、Gmailがあり、Google Calendarがあり、Google Homeがあります。

そしてAppleにはiPhone/iPad、iTunes、Siriがあります。

AmazonにはPrime Video/Music、買い物データ、Alexaがいます。


これらの各「帝国」の間の国境の壁、意外と高いんです。


国境をまたいだ連携が音声アシスタントを通じると途端に難しくなります。


例えば。

「Ok, Google。Amazon Musicの中にあるテイラー・スウィフトのShake it offを流して」
"Ok, Google. Play Taylor Swift's Shake it off on Amazon Music"

これ、無理です(誰かやり方知ってたら教えて)。
Googleを通じてAmazon Musicの中の楽曲を指定できないみたいなんです。


同じGoogle帝国の内でも

「Ok, Google. 自宅までのナビをWazeでお願い」
"Ok, Google. Launch Waze and navigate home"

これですら無理なんです。

ちなみに私がAndroid OSで最も美しい機能だと思っているのが Intent なんですが(各種Androidアプリから Share で色々なアプリにデータ連携できるのはIntentのおかげ)、音声アシスタントになると、このIntent相当の機能が全く働かないんです。これ、とてもAndroidらしくない。

もし、これが出来るようになれば以下のようなことが可能になるはずなんです。

「Alexa, 今日の通勤経路は混んでる?」→「その経路をWazeに送っておいて」

「Ok, Google. Uberで今日のディナーのレストランまで行くよ」

「Siri、Amazon Musicで買ったAdeleのHelloを再生して」

これらができない。つまり、現在は各帝国の中で所有している資産や機能は自由にアクセスできるのに、それらをまたごうとすると途端に国境警備隊に阻まれて連携が出来なくなる。

AlexaにiTunesの曲の再生は出来ないし、GoogleにUberを呼び出すことはできないし、SiriにAmazonの注文配達日は分からない。


この帝国間の分断、何とかならないものでしょうかね。

 音声でのIntent、早く対応してくれないものかしら。


※ちなみにAlexaは「スキル」という形で他のアプリとの連携が可能です。ただ、あくまで一方通行だし、「誰かがスキルを開発しなければならない」という壁の高さ。Intentのように「シェアという文脈で呼ばれたとき、こう動く」みたいな、各アプリが自律的に対応するような美しい設計ではありません。


帝国への忠誠?


歴史的経緯もあって、私の手元データ環境は以下のようになってます。



  • 音楽はほぼiTunes、189GBの大量のクラシック音楽はもうどこにも移せない
  • ただしAmazon PrimeメンバーなのでPrime Musicは結構便利に使いたい
  • 買い物系のデータは圧倒的にAmazon
  • 私のパーソナルな予定や履歴を一番知っているのはGoogle
  • 仕事関連は全てiPhone
  • カーナビはWazeメイン、見知らぬ土地では時々Google Maps


とまぁ、見事に分散しちゃってる。

iTunesのクラシック音楽なんかは、20年かけて蓄積したCDをすべてそこに集めた結果。日本からアメリカに引っ越す際にCDは大半処分してしまったし(持っていくにも費用、保管するにも費用。捨てるしかなかったんです…)、これだけのデータサイズになるともはや他のサービスへの移動もままならない。


どこかひとつの帝国に忠義の契りを交わし、他国に出ることを一切なくすことが出来れば、それはそれは快適な音声アシスタントになるでしょう。しかし、現在、どの帝国も強い部分、弱い部分がある。将来的なことも考えると、一つの帝国どっぷりはハイリスク。


ユーザーの利便性を考えると、もう少しオープンな連携があっても良いように思うのです。



ただ、たぶんですが現在どの帝国も「囲い込みたくて国境の壁を高くしている」わけではないと思うんです。
GoogleはiOSアプリだって提供しているし、プラットフォームとサービスは完全に分けて考えている。Amazonだって自身のスマートフォン事業は決して成功していないから、iOSでもAndroidでもAlexaが連携できるようにしている。


ところが、いざユーザーのデータというレイヤーになると、途端に閉鎖的な感じになってしまう。おそらくは意図しているのではなく、単に連携の枠組みがないだけのことなのでしょう。


何とか音声アシスタント同士が相互にユーザーのデータをやり取りしあえるような、そんな共通基盤が出来上がらないものでしょうか。