Googleアシスタントをクルマの中で使ってみた

完全自動運転はまだ先ですし


Googleアシスタントはクルマの中でガシガシ活躍してくれます。


公共交通機関があまり発達していないサンフランシスコ郊外~ベイエリアで仕事をしていると、どうしてもクルマでの移動時間が長くなります。サンフランシスコ市内在住&市内勤務でもない限り、一日のうち30分程度はどうしたってクルマの中で過ごす必要がありますし、長いときには1日3時間くらいクルマ移動で費やすことも珍しくありません。


まだまだ完全自動運転は実現できていないので、どうしたってこの時間は運転に集中する必要があります。しかし、運転中って(当然ながら)運転以外にできることってほとんどないんですよね。音楽を聞くか、歌うか、くらいしかない。


この長い時間の体験を、スマートフォンを使って何とか良いものにできないものかなー、などと日頃考えていまして。


そして、全車へのカーナビ搭載が義務付けられている日本とは違って、米国で中古車を買うとナビなんてついてないことの方が多いです。私の2012年型プレマシー(米国名 Mazda 5)も例外ではなく、ナビは非搭載。よって、スマートフォンでのカーナビに頼ることになります。

さらに私の場合は仕事でレンタカーに乗ることが多く、そんな際にも別料金のナビを借りるくらいならスマホでやるよ、となります。


WazeやらGoogle Mapsやら、当然カーナビ使用を想定したUI設計になっているのでボタンが大きかったりカンタン操作で最低限のことが出来るよう考えられているわけですが、昨今は音声アシスタントの発展が目覚ましく、たいていのことは「声」で操作できるようになってきました。


そこで今回は、音声アシスタントを中心に据えた「クルマの中のスマホ体験」のTipsをいくつかまとめてみたいと思います。


なお、以下は全てGoogle謹製AndroidスマホであるPixel 3 XLを前提としています。iPhoneでは当然できることできないことあるでしょうし、もしかしたら同じAndroidでも機種が違うと異なる部分はあるかもしれません。そのあたりはご了承ください。


私のクルマ体験の流れ


およそ私のクルマ通勤は、以下のような流れで進みます。


  • 何よりもまずエンジンをスタートします
  • Bluetooth Car Kit (*1) が起動します
  • Car KitがBluetoothでスマホと接続されます
  • その接続をトリガーに、スマホのロックが解除されます (*2)
  • USBシガーソケット電源 (*3) からのUSBケーブルを接続しスマホを充電状態にします
  • スマホをエアコン吹き出し口につけたマウント (*4) に入れます
  • Active Edge機能 (*5) によりGoogleアシスタント(音声アシスタント)が起動します
  • 音声コマンドでナビゲーションと音楽再生を同時にスタートさせます (*6)
  • (目的地到着後)最寄りのスターバックスにコーヒーを注文します (*7)


順番にご紹介しますね。


*1: Bluetooth Car Kit



私が使っているBluetooth Car Kit。スマホとの接続も安定しているし、
マイクの性能も必要充分です。


シガーソケットからのUSB電源で動作する、マイク 兼 Bluetoothオーディオレシーバー(スマホから音をもらってステレオミニジャック経由でクルマのスピーカーから音を鳴らしてくれる) 兼 音楽再生リモコン です。

私はSoundbot社のSB360という機種を使っています。Amazonで$20くらいで買えますし、
そのほかにも、Bluetooth Car Kitで検索すると、Bluetoothで受信してFMでクルマに飛ばす機器など、色々出てきます。
(昔FMトランスミッターを使ってましたが、ときおり接続が乱れたり、大型トラックの無線と混信したり…といったことがあったので今は使ってません)



*2: Smart lock -- Bluetooth接続でスマホをアンロックする


Pixel 3 XLの Setting >Security & location > Smart Lock > (PIN入力) でSmart lockの設定ができます。


AndroidにはSmart Lockという機能があり、その中の設定で「信頼できるBluetooth機器が接続された場合はスマホのロックを解除する」ということができます。
例えば、Fitbitなどのアクティビティトラッカーとスマホが接続されているということは、Fitbit装着者(まぁスマホの所有者でしょうね)が近くに居るということで、ロックしなくていいよね、というような機能だと思います。
(私はさすがに怖くてFitbitでのロック解除は設定していませんが…)


Pixel 3 XL の場合、Setting > Security & location > Smart Lock > (PIN入力) > Trusted devices という設定があり、ここでBluetooth機器を指定することで、この機能が動きます。

私はここに、前述のSB360を指定しています。

つまり、クルマの中にいて(あるいはクルマからのBluetoothが届く距離にいて)かつクルマのエンジンがかかっている(厳密にはシガーソケットから給電している)状態にのみ、自動ロック解除。原則として私のクルマのキーは私と家内しか持っておらず、かつ、そのエンジンがかかっていて、私のスマホがその近くにある…という状態は極めて限定的なので、ある意味安心して設定できます。



*3: USBシガーソケット電源


右が、私が使用している4ポート搭載のAnker社製USBシガーソケット電源。
ちなみに左はSB360のオーディオミニジャックをクルマのAUXポートに繋いでいます。


SB360には、太っ腹、USB-Aの給電ポート3つが搭載されたUSBシガーソケット電源が付属するのですが、私はそこからさらにもうひとつポートが多い、Ankerの4ポートモノを使っています。スマートフォン2台とSB360、あと一つは同乗者用に確保。

残念ながら私が使用しているモデルはすでに生産終了、終売済みのようですが、4ポートまでのものでしたらいくつかAmazonでも見つかるようです。これまた$20前後。


*4: エアコン吹き出し口に取り付けたスマホマウント


左のマウントにPixel 3 XL、右のマウントにiPhone。
通常、画面の大きいPixelでカーナビをしていて、ナビはなるべく目線移動せずにみられるところに置きたいためにこのようにしています。

私が使っているのは写真左、KENU社製のAirframe+というマウント。若干固定は弱めですが、気軽に取り外して出張時に持っていけるので重宝しています。ただしエアコン吹き出し口によってはつかないことも。レンタカーを借りる際にはこれが付く吹き出し口のものを敢えて選んでいます。


ちなみに、写真右のマウントはCDスロットに差し込んで固定するタイプのマウント、iOttie社製のもの。イマドキCDスロットがないクルマも多く(新しめのレンタカーなどでは特に見当たらない)、取り付けられないクルマも多いと思いますが、運転中に比較的カラダに近いところにスマホが来るので操作しやすく、重宝しています。

スマホマウントはどちらも$20くらいで買えます。


(番外:出張レンタカー対応)

私は出張でレンタカーを使う際、自分のクルマから以下を必ず持っていくようにしています。


  • スマホマウント(Airframe+とiOttieの両方)
  • USBシガーソケット電源とUSBケーブル
  • SB360

で、レンタカー屋でクルマを選ぶ際は、ステレオAUXポートがあること(けっこうレア)、Airframe+がマウントしやすいエアコン吹き出し口があること、を条件にクルマを選んだりします。
(本当はCDスロットも欲しいんですが、これはもはや絶滅危惧種)

運転する時間の長い出張だと、こうした環境によって快適さがまるで違いますからね。



*5: Active Edge機能によりGoogleアシスタント(音声アシスタント)が起動


「きゅっ」とするのは、何もヒトの手でなくても良いのです。


Pixel 3シリーズには、Active Edgeといって、スマホの下半分くらいを「きゅっ」と握ることでGoogleアシスタントを起動できる機能があります。おそらく感圧センサーか、フレームのゆがみを検知するセンサーが入っているのでしょう。

で、これを人の手ではなく、スマホマウントで起動させます(笑)

上記のKENU Airframe+にPixel 3 XLをセットすると、バネのチカラでAirframe+が「きゅっ」とPixelを握ってくれます。これにより、自動的にGoogleアシスタントが起動するんです。

いや、本来の想定とは全く異なる使い方であることは認識していますよ?
でも、あまりにもピッタリのタイミングでGoogleアシスタントが起動するもんですから…。
(これを効果的に使いたいがためだけに、最初にクルマのエンジンをかけているんです。そうすると、エンジンON > SB360がスマホと接続 > アンロック > Airframe+につけてGoogleアシスタント起動 > 音声入力レディ!)

ま、これにより省略できるのは「OK, Google」の2単語の発話だけなんですが、そんなことはどうでもいいんです!Active Edgeという機能が使えるのですから!




*6: 音声コマンドでナビゲーションと音楽再生を同時にスタート


最も杓子定規なコマンドは

「OK, Google. Tell Google Maps to navigate to Home(あるいは目的地の名前)」

みたいな言い方ですが、ここまで言わなくても、

「OK, Google. Navigate to Home」

だけでも通じます。普段あまり行かないところはこれで対応しますが、通勤と帰宅については、私は「Routine」を定義しています。

「Routine」とは、いわゆるショートカット機能とでも言いましょうか。複数の処理をまとめて一つの音声コマンドで実行する、というGoogleアシスタントの機能です。


一番わかりやすい例で言えば、以下のようなものですかね。実際、Googleアシスタントの標準機能として定義されているようです。

「OK, Google。おやすみ」
   >「はい、おやすみなさい」と言う
   >「目覚ましは何時にセットしますか?」と聞き、アラームセット
   >「リラックスサウンドを再生します」で、虫の声のようなBGMを再生


「OK, Google。おはよう」
   >「おはようございます」と言う
   >居室の照明をつける
   >今日の天気予報を読み上げる
   >カレンダーに登録されている今日の予定を読み上げる
   >今日のニュースを読み上げる


で、これを自分の好みに組み上げるのが「Routine」です。

私の「家に帰る」Routine定義。試行錯誤の結果、極めてシンプルになりました。

Googleアシスタントには、プリセットでいくつかのRoutineが定義されています。その中に「Commute to home」というものもあり、私はそれをベースにカスタマイズしています。

現状やっていることは「自宅までの所要時間の読み上げ」「Play musicでのプレイリストの再生」「ナビゲーション」の3つだけですが、それ以外にも以下のようなことが可能であることは確認済みです。


  • 自宅のGoogle Home Miniに「これから帰るよ」と喋らせる(コマンドは「Broadcast これから帰るよ」)
  • 未読のテキストメッセージを読み上げる
  • 指定の宛先にテキストメッセージを送る(これから帰るよ、的な)
  • スマホの音量を適切に設定する(普段は無音だが帰る際に戻す、のような)



…とまぁ、これだけの複合アクションをひとつの音声コマンドでできるのですから楽チンですな。


(番外:Google Mapsからの音楽再生)

ちなみに、Google Mapsはつい最近のアップデートで、Mapアプリから離れることなくPlay MusicやSpotify等の音楽再生をコントロールできるようになりました。

右側にPlay MusicやSpotifyのアイコンが現れ、ここから音楽再生が可能です。便利~。


設定は Google Maps > 3-bar menu > Settings > Navigation settings > Default media appから。

Play Music以外にもSpotifyなども対応しているようです。


*7: スターバックスにコーヒーを注文


米国スタバへの音声注文。GoogleアシスタントのUIを用いていますが、実体はそのAPIを使ったStarbucksアプリが注文を処理していると思われます。


最後はまぁ、オマケみたいなものですが。

クルマを止めてオフィスに入る途中に、コーヒーを買いたいのです。
これをするために、大昔は普通に列に並んでいました。まぁ、時間の無駄ですわな。

そして少し前は、クルマを停めてすぐモバイルオーダーを入れ、スターバックスに到着するまでの間に出来上がるようにしていました。
列での待ち時間は無くなったので、これでもずいぶんな改善なわけですが…。
(この機能の詳細はこちらのポストでご紹介しています。もう3年も前のものですが)


そして最近は、クルマの運転中に注文してしまうことにしました。おおよそ4ステップで完了、パーキングの敷地に入ってクルマを停めるまでの間に完了できる程度の時間です。


私「OK, Google. Tell Starbucks to order coffee」
G「Okay. Let's get Starbucks」
S「Alright, what size do you want that?」
私「Grande」
S「A Grande Featured Dark Roast, sure. Anything else?」
 (私が直近で注文したコーヒーはダークローストなので、それを持ってきたっぽい)
私「No, that's it」
S「Should I send your order to 120 4th Street Starbucks?」
 (私が直近でモバイルオーダーした店舗はこの住所の店舗なので、それを持ってきています。遠く離れた地で同じことをしても、引き続き前回の店舗が提案されます。もちろん、現在地近くの店に声だけで修正可能) 
私「Yes」

この後、画面にオーダー詳細が表示され、金額などを読み上げた後に「Yes」で注文内容を確定し、最後に指紋認証を通してオーダー完了、となります。

最後の最後は音声だけでは完結しませんが、まぁ実際にお金を支払う段階なので妥当でしょう。指紋認証だけですから、手探りで完了することもできます。

そしてクルマのエンジンを切り、パーキングロットからスターバックスまで歩いている間にコーヒーが用意される…という寸法です。


この音声注文により省略できる時間なんてものの1分とかですが(普通に画面操作してモバイルオーダーする時間)、朝の忙しい時間に並んで待ったり、ただクルマの中に座ってコーヒーのオーダーを送る時間を省略できるのは、精神的にスムーズです。


と、まぁ、大したことはやってません


スマホの音声アシスタントのおかげで、クルマに乗る前の歩きスマホを省略できたり、まどろっこしいスマホでの文字入力などを省けるのはずいぶんスムーズに感じます。
ただ、改めてこうして書き連ねてみると、大したことはやってないんですよね。指で操作したって、モノの数秒でできることばかり。

しかしながら。

既存の操作の省略という見方をしてしまうとそうなりますが、こうした音声でのスマートフォンとのコミュニケーションは、ある意味で発展途上で未完成状態なのではないかな、と感じます。

例えば、いつもの通勤パーキングに入ったタイミングでスマートフォンの方から「いつも通りコーヒーを注文しましょうか?」と聞いてきたり。

例えば、朝のおおよそ自宅を出発する時間にクルマのBluetoothと接続したら、自動的に「ナビゲーションを開始しますか?」と聞いてきたり。

スマホが、もっと人間に寄り添って「賢い提案」をしてくるようになる、その成長途上なのだとすれば。

スマートフォンが、もっとスマートになる。そろそろ「フォン」取り外して「スマートアシスタント」でもいいんじゃないの。

今の音声アシスタントを搭載したスマホは、そんな未来に向かう、途中の段階にあるのではないかな、と感じる次第です。



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