2017/12/30

ランニングトラッカー SHFT を試してみた

取得できる情報量はピカイチ、ですが…

SHFTポッド。1つ単独、または2つセットで使用します

せっかくランニングを趣味にしているので、ランガジェットを色々と試してみているわけですが、ある日Kickstarterのサイトをぼんやり眺めていた時に見つけたのがこのSHFT Oneです。

当初はSHFT IQと呼ばれ、センサーを元にしたデータを元にバーチャルコーチがランニングの改善アドバイスをリアルタイムでやってくれる、との触れ込みでした。ところがクラウドファンディングが成立してから2ヶ月後、支援企業の倒産やハードウェア設計の見直しなどが必要となり、キャンペーン開始当初に説明された商品とは少々異なるものが届きました。

具体的には当初約束されていた以下2つの機能が削除された形です。ま、正直言うと出資した金額なりかな、とは思います。

  • スマートフォンなしで単独で走れる → スマホなしでは測定できなくなった
  • AIを元にしたランニングアドバイス機能 → おそらく定型文のみのアドバイスに

ここではランニングトラッカーとしてのSHFTを他のトラッカーと比較する形で評価してみつつ、このあたりのクラウドファンディングプロジェクトの経緯も振り返ってみようと思います。



製品概要

SHFT OneのポッドとUSB充電ケーブル


SHFTは、カンタンに言うとこんな製品です。
  • ひとつのポッドだけで使う場合、右足のシューズにクリップする
  • 二つある場合、ひとつとシューズに、もう一つを上半身にクリップする(取得するデータが増えるようです:後述)
  • GPSは搭載しておらずスマートフォンのものを利用
  • スマートフォンとBluetoothで接続し、専用アプリとデータ連携

私が持っているランニングトラッカーの中では、見た目は最も良いですね。エヴァンゲリオンのインタフェース・ヘッドセットを彷彿させます。


類似製品との比較


機能を比較してみると、こんな感じです。




ランニングトラッカー比較
2017/12/24時点の機能をベースに比較しています
SHFT One Garmin Footpod JINS MEME (RUN NEXT)
スマホなしラン × ×
GPS ×
スマホ

ウォッチ
×
スマホ
ケイデンス測定
着地強度 ×
接地・滞空時間 × ×
接地ポジション × ×
ボディバランス、ブレ
要2ポッド
×
接地・離地時の足の角度 × ×
バッテリー 充電式 ボタン電池 充電式
値段 クラウドファンディング: $59
現在: $199
単体: 実売$50前後
ただし動作にはGarmin watchが必要
JPY 19,000
約$175



色々と取れる情報、取れない情報ありますが、まぁ個別それぞれの数字を見たところでランニングパフォーマンスが改善するわけでもなく、これらの数字をもとに「どうすればよいのか」ってのが一番大事だったりします。

以下、このあたりを中心にSHFT Oneのエクスペリエンスを見ていきます。



SHFT Oneで測定できるメトリクス


SHFT Oneを靴に装着し、専用アプリを立ち上げた状態で走ると、以下のようなメトリクスを取得できます。

SHFT Oneアプリで測定できるメトリクス一覧
メトリクス詳細。左からLanding position, 接地時間、滞空時間、着地時の足の仰角、離地時の仰角です



この中で面白いな、と思うのがLanding position、足の裏の接地ポジションです。体格や筋力にもよるようですが、一般的に「ヒールストライク(=かかと着地)」はランニング中のブレーキになり、理想的には「ミッドフット(=母指球着地)」が良いと言われているそうです。この指標は、ランニングパフォーマンスの改善に直結しそうな気がします。

実際に私がミッドフット着地を意識した場合と、あまり意識せずに走った場合の比較をスクリーンショットでどうぞ。


左が無意識、右がミッドフット着地を意識。
無意識の場合、かなりの比率でかかとで着地していることが分かります。

実際、右の走りをした翌日はふくらはぎの筋肉にハリが残り、普段使っていない筋肉を使って走ったことがありありと分かりました。また持久力は分かりませんが、ミッドフット着地をする方が、よりスピードに乗れる印象です。ハーフマラソン等の中距離であれば、こちらの方がよさそうだな、という感触でした。

トレーニングプログラムは自分なりに別で考える、あるいはコーチ等に頼るとして、そのパフォーマンス測定としてはなかなか良いのではないかと思います。



メトリクス以外の便益は? - クラウドファンディングプロジェクトの失敗


さてはて、しかしこんなマニアックな数字だけ計測するためにわざわざお金を払う人は稀でしょう。ポイントは「で、そのお金で得られる対価はいかほど?」という点。

このSHFT、一番最初にKickstarterのプロジェクトが立ち上がった際にはSHFT IQという名称で、そのショルダーコピーと短い説明も以下のようになっていました。

Become A Better Runner With Your Virtual Coach
SHFT IQ is the world's first virtual running coach with Artificial Intelligence. SHFT IQ will help you run better and faster. #RunRight

バーチャルコーチとともに、より良いランナーを目指しましょう - SHFT IQは、世界初のAIを使ったバーチャルランニングコーチです。SHFT IQで、より安全に、速いランナーを目指しましょう、といったような意味合いでしょうか。

つまり、単なるメトリクス測定デバイスとしてではなく、AIを使った(今やソフトウェアなら何でもかんでもAIを名乗る時代ですね…)バーチャルコーチ、が提供対価でした。


しかし、このプロジェクト、紆余曲折があり、最終的に私の手元に届いたものは残念ながらAIなどとは程遠い「測ったメトリクスを元に、良いとされる基準との乖離を説明する」だけの、よくあるサービスになり果ててしまいました。

紆余曲折とは、端的に説明すると以下のような事項です。


  • クラウドファンディング成立後、その枠外で資金の過半を提供していた親会社が倒産
  • 資金供給がままならなくなり、AIを使ったバーチャルコーチの開発が頓挫
  • クラウドファンディングプロジェクトとしては、いったんAIコーチ機能を省き、メトリクス測定機能のみを提供する結論に至る
  • しかも当初はセンサー単体ですべてのメトリクスを測定する想定だったが、最終的には2つないと全てのメトリクスを測定できないことになった



…まぁ、クラウドファンディングの常ではありますが、こうしたリスクは発生しますな。

しかも上記の比較表に書いた通り、クラウドファンディング段階では$59だったものが現在は$199と、実に3倍以上の値段に。いかに初期の見通しが甘かったか(あるいは資金供給源の倒産インパクトが大きかったか)ということでしょうか。

最終的に、$59の出資をした人には SHFT One という単体機能制限版が届けられ、追加で$199を支払うと2つのセンサーで当初計画されたメトリクスが測定できる、というところに着地しました。


で、オススメ?

さて、ではこのSHFT、ランナーの皆さんにオススメできるか、というと…

正直、現在の市場価格 $199 は高すぎると思います。

出資者限定のメール案内では、機能制限版のSHFT Oneは希望売価格 $119 で発売予定、とアナウンスされていましたが、現在SHFT社のサイトでは $199 のSHFT Proしか販売されていません。

SHFT Oneがどうなったのか、まだどこにも説明がありません。さらにクラウドファンディングプロジェクトもいったんはSHFT Oneの出荷をもって完了した形になっており、その後この会社の資金供給がどうなったかなど、不透明な点も多いです。

従って、私が現在利用しているサービスも、いつまで提供が保証されるか分かりません。このような状態なので、とてもオススメできる状態ではない、というのが正直なところです。

一方で、走るたびに各メトリクスの「理想値」と自分の値の乖離を測定してくれて、次にどうすればよいかをカンタンに文字ベースでアドバイスしてくれているので、このアドバイス部分がAIなりなんなりでもっと洗練されていけば、あるいは…という気はします。

SHFTアプリのランニングコーチレポート。その日に注目するメトリクスが自動的に設定され、その目標値と、測定値の乖離具合を説明してくれます。この部分がもっと洗練されると、金額に見合うサービスになっていくようにも思います。


今後のSHFTサービスの改善に、期待しないで待つとしましょう…。


2017/09/25

Voice Assistantたちの国境、という話

便利ですよ、実際のところ

Amazon Echo Dot、Alexa対応スピーカーの最廉価なモデル。定価でも$49.99、セールだと$30とかで買えたり。
出典:Amazon Press Roomより


日本でもスマートスピーカーが徐々に立ち上がりつつありますね。ここカリフォルニアはサンフランシスコも、2年ほど前からでしょうか、スマートスピーカーが盛り上がってきています。

私もAmazon Echo Dotをとある方からプレゼント頂いたのと、Android端末であるGalaxy S6 EdgeのGoogle Assistant、iPhoneのSiriとそれぞれ三つとも使っています。まだまだ「使いこなす」レベルではないですが、以下のようなシーンで活躍しています。



  • 毎朝、起きてすぐ、洗面所に置いたEcho Dotに「Alexa、今日のサンフランシスコの天気は?」と「Alexa、今日の予定は?」
  • 通勤のクルマにて「Ok, Google. 駅までのナビして」「Ok, Google. 道は混んでる?」
  • 仕事中に「Siri, ○○に電話して」「○○にFaceTimeして」



まぁ、最後のは手で打ってもさしたる手間はないんですが、朝の天気予報、予定確認、それにクルマの中での完全ハンズフリーは本当に快適です。慣れてくると、逐一キーボードで打つのが面倒に感じるくらいに。特に誤打の修正が面倒なスマホですから、英語の発音をちょっと頑張る方がまだマシに感じます。


一方で、音声だけでできることには限界があるのもまた真実。特に感じるのは、各「帝国」の「国境」の存在。今回のブログエントリでは、この「国境」について問題提起してみたいと思います。


私が感じた「国境」とは


ここでいう「帝国」とは、Google、Apple、Amazonのそれぞれのエコシステムというか、それぞれの世界を指しています。
例えばGoogle帝国にはAndroidスマートフォンがあり、Google Mapsがあり、Gmailがあり、Google Calendarがあり、Google Homeがあります。

そしてAppleにはiPhone/iPad、iTunes、Siriがあります。

AmazonにはPrime Video/Music、買い物データ、Alexaがいます。


これらの各「帝国」の間の国境の壁、意外と高いんです。


国境をまたいだ連携が音声アシスタントを通じると途端に難しくなります。


例えば。

「Ok, Google。Amazon Musicの中にあるテイラー・スウィフトのShake it offを流して」
"Ok, Google. Play Taylor Swift's Shake it off on Amazon Music"

これ、無理です(誰かやり方知ってたら教えて)。
Googleを通じてAmazon Musicの中の楽曲を指定できないみたいなんです。


同じGoogle帝国の内でも

「Ok, Google. 自宅までのナビをWazeでお願い」
"Ok, Google. Launch Waze and navigate home"

これですら無理なんです。

ちなみに私がAndroid OSで最も美しい機能だと思っているのが Intent なんですが(各種Androidアプリから Share で色々なアプリにデータ連携できるのはIntentのおかげ)、音声アシスタントになると、このIntent相当の機能が全く働かないんです。これ、とてもAndroidらしくない。

もし、これが出来るようになれば以下のようなことが可能になるはずなんです。

「Alexa, 今日の通勤経路は混んでる?」→「その経路をWazeに送っておいて」

「Ok, Google. Uberで今日のディナーのレストランまで行くよ」

「Siri、Amazon Musicで買ったAdeleのHelloを再生して」

これらができない。つまり、現在は各帝国の中で所有している資産や機能は自由にアクセスできるのに、それらをまたごうとすると途端に国境警備隊に阻まれて連携が出来なくなる。

AlexaにiTunesの曲の再生は出来ないし、GoogleにUberを呼び出すことはできないし、SiriにAmazonの注文配達日は分からない。


この帝国間の分断、何とかならないものでしょうかね。

 音声でのIntent、早く対応してくれないものかしら。


※ちなみにAlexaは「スキル」という形で他のアプリとの連携が可能です。ただ、あくまで一方通行だし、「誰かがスキルを開発しなければならない」という壁の高さ。Intentのように「シェアという文脈で呼ばれたとき、こう動く」みたいな、各アプリが自律的に対応するような美しい設計ではありません。


帝国への忠誠?


歴史的経緯もあって、私の手元データ環境は以下のようになってます。



  • 音楽はほぼiTunes、189GBの大量のクラシック音楽はもうどこにも移せない
  • ただしAmazon PrimeメンバーなのでPrime Musicは結構便利に使いたい
  • 買い物系のデータは圧倒的にAmazon
  • 私のパーソナルな予定や履歴を一番知っているのはGoogle
  • 仕事関連は全てiPhone
  • カーナビはWazeメイン、見知らぬ土地では時々Google Maps


とまぁ、見事に分散しちゃってる。

iTunesのクラシック音楽なんかは、20年かけて蓄積したCDをすべてそこに集めた結果。日本からアメリカに引っ越す際にCDは大半処分してしまったし(持っていくにも費用、保管するにも費用。捨てるしかなかったんです…)、これだけのデータサイズになるともはや他のサービスへの移動もままならない。


どこかひとつの帝国に忠義の契りを交わし、他国に出ることを一切なくすことが出来れば、それはそれは快適な音声アシスタントになるでしょう。しかし、現在、どの帝国も強い部分、弱い部分がある。将来的なことも考えると、一つの帝国どっぷりはハイリスク。


ユーザーの利便性を考えると、もう少しオープンな連携があっても良いように思うのです。



ただ、たぶんですが現在どの帝国も「囲い込みたくて国境の壁を高くしている」わけではないと思うんです。
GoogleはiOSアプリだって提供しているし、プラットフォームとサービスは完全に分けて考えている。Amazonだって自身のスマートフォン事業は決して成功していないから、iOSでもAndroidでもAlexaが連携できるようにしている。


ところが、いざユーザーのデータというレイヤーになると、途端に閉鎖的な感じになってしまう。おそらくは意図しているのではなく、単に連携の枠組みがないだけのことなのでしょう。


何とか音声アシスタント同士が相互にユーザーのデータをやり取りしあえるような、そんな共通基盤が出来上がらないものでしょうか。

2017/03/13

Under Armour Record Equipped - センサー内蔵スマートシューズを試してみた

着眼点は面白いと思うんですが…。


Under Armourのセンサー内蔵シューズ、Record Equippedシリーズ
出典:Under Armour社Webサイト

昨今は様々な用途のウェアラブルデバイスがありますが、その中でもエクササイズトラッキングは最も分かりやすいウェアラブルデバイス適用例のひとつです。自転車、ゴルフ、ランニング、ヨガ、などなど。

アパレル界隈でもアスレチック(Athletic exercise)とレジャー(Leisure)を組み合わせた「Athleisure」という造語のカテゴリが存在するくらい、運動をレジャーとして楽しむ人たちが増えているようです。そのくらいカジュアルに運動を楽しむ層には、本気でタイムやスコアを狙うまで行かずとも、自分のパフォーマンスがどの程度で、周囲の友人と比べてどうなのか、を定量化するニーズというのは少なからずあるように思います。

そんな市場環境の中で最近急激に伸びているブランドがUnder Armour。スポーツアパレルブランドとして1996年に立ち上がり、今では米国の同カテゴリでAdidasとNo.2を争う立ち位置まで急成長(リンク先はFortuneの記事)しています。
(ちなみにTopはNike。2015年にUnder Armourも一度No.2になったようですが、その後またAdidasに抜かれたようです)

さて、そんなUnder Armour社が2017年1月にセンサー内蔵ランニングシューズ Record Equipped ラインの新シリーズを発売しました。早速入手し、3回ほど装用して走ってみましたのでレポートしてみたいと思います。


何がスゴイの?

足の甲部分に、センサー内蔵であることを示す Record Equipped ロゴがあります。
センサーは右足側の靴底部分に入っているとのこと。

私が入手したのは Under Armour Record Equipped シリーズの第3世代、Europa RE(たぶんエウロペ アールイーって読む)、税抜き$160です。第3世代の中では最も重い(約10oz、約280g)ものの、ソールのクッション性が高く長距離ラン向けっぽいモノ。

このシューズのスゴイところは


  • Bluetooth対応で、Under Armour社が買収で手に入れた MapMyRun というスマートフォンアプリと連携しデータ分析ができる
  • 6軸センサー内蔵で、ペースやケイデンスといったデータが取れる
  • センサーのバッテリーはシューズそのものの寿命(400マイル:詳細後述)より長いので充電不要


と謳われています。ちなみに取得できるデータについては、私が持っている Garmin社のランナーズウォッチ Forerunner 235 と FootPod の組み合わせでも全く同じもの。ってことで、これ自体は別に新しくない。


もう一つは、これはシューズ側の機能ではなくスマートフォンアプリ側の機能ですが、「ワークアウト前に6回ジャンプすると、今日どのくらいの強度のワークアウトをするべきかを教えてくれる」機能があること。

ジャンプテストのガイド。滞空時間と接地時間からスコアリングしてくれます。

…この時点で何だかシューズそのものに新しさはないことがお分かり頂けるかと思いますので…先に結論をまとめてしまいましょう。


結論:オススメできるか?


ハッキリ言います。正直オススメできません。

このシューズを買うくらいならセンサーなしバージョンを$30安く買って、他の方法でランニングデータ集めた方がいいです。
(センサーなしバージョンはコチラ

良い点:

  1. ランニングシューズとしては良い。クッション性高く疲れにくく走りやすい(センサー関係ない)
  2. アプリとの接続までのガイドは分りやすい(センサー関係ない)

イマイチな点:

  1. MapMyRunアプリのデキが悪い。StravaやFitbitの方が使いやすく分かりやすい
  2. スマートフォンを持って走らないと全てのデータが取れない。Garmin Forerunnerなら腕時計だけで走って、後から同期してもすべてのデータが取れる
  3. シューズ充電不要とのことだが、$160のシューズの寿命が400マイルって短すぎ
  4. ウリであるJump testも、推奨運動強度を教えてもらったところでイマイチ役に立たない

結論:

  • シューズとしては良いが、ランニングデータ収集の面では全体的な使い勝手、コストパフォーマンス、得られるデータ全てにおいてGarminの方がいい


…とまぁ、ざっくり言ってしまうとこんな感じです。ランニングシューズとしては良いモノですが、スマートシューズとしての私の評価は全然ダメです。こんなんでスマートと呼ぶな、と言いたくなります。


結論だけ分かればよい方はここまで読めば大丈夫です。以下、各機能や仕様を細かく見ていこうと思います。


ワークアウトトラッキング機能


この機能は、スマートフォンを身に着けてリアルタイムトラッキングしながら走った場合と、スマートフォンを身に着けずに走った場合とでトラックできる情報に差があります。

まずは、スマートフォンとともに走り、MapMyRunを起動してリアルタイムトラッキングした場合がこちら。

Europa REとMapMyRunを接続し、リアルタイムにトラックした場合。
左側の上部は走ったルートがGoogle Mapsを使って表示されます。

左側のスクリーンショットにある通り、記録できる情報は 距離、時間、ペース、ケイデンス、推定カロリー、標高差の6つ。情報量はGarminやFitbitと大差ありません。

右側がペースを時系列で表示したもの。最大ペースがマイル2分とか、あり得ない数字が出ているのはご愛嬌。GPSがGalaxy S6のもので非常に頼りないのでここは仕方ないか(UnderArmourのせいではない)。


続いて、こちらがスマートフォンなしで走った時のもの。
Europa REだけで走り、帰宅後にSyncした場合。
情報量が減ってますね。

距離、時間、ペース、推定カロリーのみの取得で、ケイデンスと標高差が省略されています。この2つはGPSがないと取得できないということなのでしょうか?(ケイデンスはトータルなら取れそうなモノですがねぇ…?)

さらにペースも、総走行距離と時間から割り出して計算したもののようで、時系列の推移などは取れません。
なお、このときはGarminのGPSで測定した走破距離と0.2マイルしか差がなかったので、距離計測の精度は充分と感じます。
(おそらく身長から割り出したストライドと歩数で掛け算していると思われる)


Garmin Forerunner 235なら、Europa RE+スマートフォンの場合と同等の情報が取れる上にGPS感度がスマートフォン頼りのEuropa REが若干不利。Garminに軍配が上がります。


私の本命、ジャンプテスト機能

ジャンプテスト前。動画でジャンプの仕方を見せてくれるのは親切で分かりやすいです。


次に、ジャンプテスト機能を見ていきます。まず最初に「5日以内に3回のテストを行い、ベースラインを制定しましょう」と言われます。
ベースラインは個人差あるのでしょうが、このくらい事前にモニター使ってデータ集めて一般的な標準値を最初に持っていてほしいなぁ(後から個人ごとにキャリブレーションするにせよ)とは思いますが、難しいんですかね。

ジャンプテストの前に、「筋肉の疲れ具合」「エネルギーレベル」「睡眠の質」の3項目を10段階で自己評価するように言われます。この数値もジャンプスコアに影響しているかどうかまでは、まだ分かっていませんが。


その後、その場で6回ジャンプすると以下のようにスコアリングしてくれます。
滞空時間、接地時間を元にスコア化。
実はこの時ミスで5回しか飛ばなかったのですが、ちゃんとスコアリングしてくれました。

これを3日に分けて行うことでベースラインが制定されます。制定後、4日目にジャンプテストした結果がこちら。

とりあえず中くらいに攻めてみたら、という提案。
…役に立つのやら立たないのやら…?


…で、この情報が分かったところで俺はどうすればいいんだ?というのが良く分からない。結局、ここよね、大事なのは。中くらいって具体的にどのくらい?というのと、提案通りにしたところでどんないいことがあるの?というのが良く分からんのです。So what?


コストパフォーマンス


続いて、払うお金に見合う価値があるのか?という点について見てみます。

Record Equippedシリーズは、最も軽量な Velociti モデルが$140(税抜き)、 Gemini と Europa が$160です。ランニングシューズとしては少々高いけれど高すぎるというほどでもない、という金額ですが、気になるのがその寿命。

充電不要を謳う中で「靴の寿命より長くバッテリー持つよ!」と語り(左側上段)、
その後「寿命は400マイルね!」と(同、下段)。
出典:Under Armour社Webサイト

シューズの寿命として400マイルって短すぎないですか??

例えば私は、平均すると週に30マイルくらい走っています。そのペースだと、実に3ヶ月で寿命を迎えてしまう??

Europa RE を買う前に履いていたシューズは半年以上使って、しかもランニング以外の普段履きにも使ってまだまだ使えそうですが…。

確かに靴を脱いでいると自動的に接続が切れることから、履いていない時にはセンサー側のバッテリーを使わないよう工夫されていることは伺えます。しかし、当然ながらセンサー側のバッテリーが切れたら、スマートではない、ただのシューズ。スマートでいられる時間がたった3ヶ月で、その後は新しいシューズをまた$160とかで買わなければならない。


…それなら、再充電可能なGarmin(約$320)+電池交換できるFootPod(約$60、電池は半年持つ)の方が長く使えるし、トータルコストは安い。私の使い方なら。


まとめと学び


…と、まぁ、なんだか酷評してしまいましたが、結局のところ靴に入れようがメガネに入れようが、搭載しているセンサーは単なる6軸センサー。そのセンサーから取得できるデータは、そんなに差がないんだな、という当たり前のことでもあります。

そして、現状Under Armourも、Garminも、データとそのデータを元にした事実としての情報くらいしか表示できていない。つまり、そこにあんまり付加価値がないように思います。

データ計測して、ペースとかパフォーマンスを測定して。


で、そのあとどうするの?どうすればいいの?


この、ユーザーとしては当たり前の質問に答えられるようなデバイスなりアプリなりサービスなり体験なりにしていかないと、普及しないし、それだけのために万人は$150とか2万円とか払わないだろうな、と思います。


その昔、私が経営コンサルタントをしていた時に、とある先輩からこんなことを教わりました。

データを集めて分析すると情報になる。情報を集めて分析すると示唆(インプリケーション)になる。示唆のない分析に価値はない。

この教えの文脈は、もちろん経営コンサルタントとして如何に価値のある仕事をするか、というものでしたが、これってウェアラブルデバイスやセンサーにも同じことが言えますよね。


ランニングのデータを集め、分析してペースやケイデンスを出す。でも、それだけではランナーはあまり嬉しくない。

例えば、フルマラソン3.5時間(サブ3.5ランナー)目標の人であれば、世間一般のサブ3.5ランナーのペースやケイデンス、パフォーマンス指標と比較して自分はどうなのか?どういうことを意識すればその差が埋まるのか?そうした示唆を提示することにこそ、価値があるように思います。

Fitbit、Garmin、Strava、Under Armourと使ってみましたが、どれもまだそのレベルには達していない。ウェアラブル、まだまだこれからですな。