ドライブレコーダー / Dash Camを選んでみた
クルマ通勤で運転時間が長いとね…
Dash Camの静止画撮影機能。手動ですが気になる絵をすかさず撮れます |
最近はサンフランシスコのオフィスまでクルマで通勤しているんですが、空いていれば35分の道のりも朝夕の通勤ラッシュ時には1時間近く運転することになります。往復2時間、相応のリスクを負うわけです。
先日2日連続で事故を眼前で目撃したこともありまして、万が一の事態に備えた保険としてドライブレコーダー(英語だとDash Cam - ダッシュボードに設置するカメラ)を導入しておこうかな、と思い至りました。
実は以前にクルマのスマート化に取り組んだ際に興味本位でスマートフォンに繋がるドライブレコーダーとかないかな?と思って探したこともあったんですが、色々なタイプがあって、また価格も千差万別で、その割にはスマートでもない(基本的に録画のみ)だったので良く分からず導入しなかったのですが。
今回は必要に駆られて、選び方を勉強しながら導入してみました。せっかくなのでその記録を残しておこうと思います。
ドライブレコーダー選定のポイント
選定の要素はこんな感じ。
1. マウントのタイプ:ルームミラーマウントかガラスやダッシュボードに吸盤マウントか
2. カメラのタイプ:フロントのみか、フロント+室内か、フロント+リアか
3. スペック:カメラの性能、保存容量といったスペック
4. 電源供給方法:基本はシガーライターソケットですが、意外と重要
順番に見ていきます。
1. マウントのタイプ
大きく分けて「ルームミラーマウント」と「サクションマウント」があるようです。
ミラーマウントタイプの例、TOGUARD Mirror Dash Cam ce35 出典:Toguard社Webサイトより |
こちらがミラーマウントタイプの例。クルマに備え付けてあるルームミラーに、ラバーバンドやバネがついたツメで上下から挟み込むようにしてマウントするようです。
メリットとしては、どんなクルマにも適用できること、フロントガラスの中央に近いところから撮影できることが挙げられると思います。
デメリットを挙げるとすれば、標準のミラーよりは大きくなるので邪魔に感じること、液晶モニタを内蔵するためミラーとしての視認性はやや下がることが挙げられると思います。
サクションマウントの例、TOGARD cego6 |
そしてこちらがサクションマウント。ラバーカップを平滑面に当ててレバーを倒すことで陰圧状態となり、かなりガッチリくっつきます。
メリットは設置がカンタンなこと、カメラ位置の自由度があること。
デメリットは、ラバーが劣化すると落ちてきやすくなることです。Dash Camではないですが身内のカーナビがこのタイプなのですが、劣化してきていてマトモに設置できません。
(ダッシュボードにおいて使っています)
マウント方法はお好みで良いかと思います。私はすでに大型ミラーを標準ミラーにマウントして付けているのと、クルマ内撮影用カメラ搭載のものはカメラが突き出していて視界の妨げになりそうだったのでサクションマウント型を選びました。
ミラーマウントの例。下部にボタン類とカメラが突き出ていて、ちょっと邪魔になりそう |
2. カメラのタイプ
続いて、カメラのタイプ。大まかに以下の3種類があるようです。
- フロントカメラのみ
- フロントカメラと室内カメラ
- フロントカメラとリアバックアップカメラ
フロントカメラのみだと、価格は当然安くなりますが、前しか撮れません。後ろからの追突事故などの場合、どんな状況で追突されたのかは厳密には記録に残りません。それでも、保険会社に提出する証拠としては充分価値はあるようですが。
フロントカメラと室内カメラの場合、タクシーやUberの運転手のように不特定多数の人を同乗させる際には有効でしょう。また、フロントカメラと合わせると、360度とまではいきませんが、かなり広範囲に運転中の状況を記録できますので、横からの衝突などもカバーできます。
室内カメラで撮った写真。右に移った私をクロップしています。 周辺のクルマのナンバープレートは判別できません。 |
私が選んだのもこのタイプなのですが、残念ながら後ろのクルマのナンバープレートは全く判別できませんでした。またフロントガラスから室内を撮る形になるため、クルマをバックさせる際のモニターとしてもほぼ機能しません。あくまで補助映像として割り切るべきですね。
フロントカメラとリアバックアップカメラの両対応の場合、接近する後ろのクルマはかなりはっきり撮影できるようです。一方、リアカメラはリアウィンドウ付近またはナンバープレート付近に設置することが一般的なようで、サイドの映像はカバーされません。また、リアカメラまでの配線はかなりの大仕事になるようです。
こちらに、リアバックアップカメラの配線&設置例の動画がありました。専用の工具を使ってケーブルを内装に隠したり、内装を一部外して配線したりと、非常に大がかりな導入作業が必要になるようです。動画も40分と長編です。
3. スペック
続いて、カメラやレコーダーのスペックについてです。おおよそ、以下のような項目で評価する必要があるようです。
- カメラの視野角…どれだけ広角に撮影できるか。レンズの点を中心に、140°とか170°など角度で表現されます
- 録画画質…720pや1080pなどのサイズ・解像度、1秒間に何コマ取るかの30fps/60fpsなどの録画画質にかかわる性能です
- 暗視性能…夜の運転中などにどれくらい鮮明な映像を撮れるか。特に室内カメラの場合、夜の運転中はクルマの中は基本真っ暗になるので重要です
- 録画時間…ほとんどの機種では別売りのMicro SDカードに動画を保存するようです。これが32GBまでしか対応しない機種、128GBなど大容量カードにも対応する機種などがあり、大容量であるほど長い時間の録画を保存できます
録画時間に関しては、万が一の何かが起きた際にボタン一つで直近の動画を保存し削除しないようにマークできる機種がほとんどのようなので、あまりに短すぎなければ大丈夫でしょう。
私が購入したものは、3分で300MBくらいの動画が作られました。フロントと室内両方で600MBとなります。容量32GB、フロントのみだと4~5時間、と言ったところでしょうか。
4. 電源供給方法
最後が電源。ほとんどの機種はシガーライターソケット電源から電気を供給することになると思いますが、その方式がポイントです。
まず本体側のコネクタ。専用コネクタでつなぐタイプ、Mini USBポートにUSBケーブルをつなぐタイプなどがあるようです。
そしてシガーライターソケット側。こちらは付属品でシガーライターソケットUSB電源をつけて一般的なUSBケーブルが同梱される場合と、ソケット電源から直接ケーブルが伸びるタイプがあります。
Pyle社の例。右下にMini-USBケーブル、中央下にシガーライターソケットUSB電源があることが分かります (出典:Amazon.com Pyle社製品ページ) |
私が購入した製品は、シガーライターソケット電源から直接ケーブルが伸びるタイプ。すでに私のクルマのソケットには別のUSBアダプタがささっている上、フロントガラスにマウントしたドライブレコーダーまで視野の邪魔にならないようにケーブルを配線するためには、最低でも3メートルの長さのケーブルが必要。結局別売りの3メートルMini USBケーブルを購入しなければならなくなりました。このあたりも製品選びのポイントになるでしょう。
私が購入したVANTRUE社製のドライブレコーダー。 写真左上が電源ケーブルで、残念ながらソケットと一体型で別途ケーブルを購入する必要がありました。 |
しかし、私が購入したVANTRUE社製のドライブレコーダーは製品ページにアクセサリの説明がなく、事前にこの仕様を知ることが出来ませんでした。なかなか買い物が難しいですね。
私の選択:VANTRUE社製 N2 Pro Dual Dash Cam
私が購入した製品はこちら。$199+税と安くはありませんでしたが、ポイントは以下です。
- 後ろからの事故時にも映像を抑えたいが、リアカメラまで配線するのは面倒なのでフロントと室内カメラの両方を搭載
- 室内カメラは赤外で、暗い中でも撮影できる
- フロント・室内ともに1080pで高画質
- 256GBまでのMicro SDカードに対応、長時間の録画保存に対応
- マイク搭載、音も録音できる
以下、いくつか動画のサンプルを。
1. 曇天の日中、Freeway走行のフロントカメラ(65mph前後の速度)
2. 曇天の日中、ショッピングモールの駐車場でゆっくり走行中のフロントカメラ(20mph前後の速度)
3. 曇天の夜間、一般道を走行中のフロントカメラ(35mph前後の速度)
4. 曇天の夜間、Freewayを走行中の室内カメラ(65mph前後の速度)
私の感覚からすると、以下のような評価です。
- 日中のゆっくり走行中は鮮明でとても見やすい
- 日中夜間に限らず高速走行中はあまり見えない(あまり問題ではないですが)
- 夜間の走行中はあまり鮮明でない、止まらないとちゃんと見えない
- 室内カメラは後方のクルマの特定はほぼできない
もし追突事故があった際、後方のクルマのナンバープレートを識別することはおそらくできないと思います。一方、衝突時がどのような状況であったかを知るには充分ではないでしょうか。
リアカメラのための配線にかかる手間を考えれば、私は室内カメラで充分ではないかと感じています。
総括:正直、もう少しこなれてほしい製品カテゴリですね
私が購入した製品も電源周りの仕様が製品ページでも説明されていなかったり、同梱されているアクセサリの記載がなかったりしました。
またリアカメラの配線が非常に手間がかかることなど、クルマのアフターパーツ市場の常なのでしょうが、導入のハードルが非常に高い印象です。
全体として、市場の成熟度がやや欠けるような印象です。
配線をカンタンにする、スマートフォンの画面でリアルタイムに画角が確認できるようにして導入を容易にするなど、もう一息使いやすい製品カテゴリになってくれると良いですね。
それと、スマートフォンのカメラの高画質(手ブレ補正やフォーカス)に慣れていると、どうしても画質が低いと感じてしまいます。このあたりはクルマの中という振動が多い環境から仕方のない面もあると思いますが、今一歩の改善を望みたいところです。