Smart Lockの選び方 2022年2月版

いろいろ種類があるんですな


スマートロック、実はバリエーション豊富です
写真はSmonetの指紋認証対応タイプ
(出典:amazon.com

最近、ウチの息子がMiddle Schoolに通い始め、これまでは親が送り迎えして通学していた生活から、彼ひとりで自転車通学になりました。このため、帰宅時に家に入るためのカギが必要です。

ただ、彼はなにぶんモノを忘れたり失くしたりが激しい人なので、家のメタルキーを渡すのはちょっと気が引ける。我が家は息子の帰宅時間にはたいてい親のどちらかが家にいるので、今の段階ではカギを持たせない生活をしています。

ただ、それもちょっと不便だろう…ということで、カギを失くしてもダメージが少ないロック、スマートロックの導入を検討してみました。息子にはまだスマホを持たせてはいませんので、指紋認証で入れたり、PINコードで入れたり。それにあたり、いろいろと調べた結果をここに記録しておきます。

なお内容はあくまで2022年2月に調べた段階の情報です。この業界、進化が早いので、もっと新しい技術や製品タイプが出ている可能性がありますのでご注意ください。また、日本では少し事情が異なる可能性もあります。


比較のポイント

スマートロックは、おおよそ以下のような製品バリエーションの変数があります。


  • 開錠方式 = 何を使ってアンロックするか。スマホアプリ対応は当然として、物理メタルキー対応の有無(対応していないものもあります)、指紋、ICカード(Apple Watchに対応するものも)、PINコードあたりが主流です
  • 通信方式 = BluetoothまたはWi-Fi。Bluetooth対応のものはアプリと直接通信することになります。別売りのWi-Fiブリッジを買うことでWi-Fiにつながり、インターネット越しに操作できたりするものもあります
  • 取付方式 = 既存のカギを全て外し、新しく付け替える「全交換方式」、ドアの内側部分のサムターンだけ取り換える「サムターン交換方式」、カギの中にあってニョキッと出てくる部分(Deadboltと言います)を交換する「Deadbolt交換方式」、既存のカギはそのままにドアの内側のサムターンにかぶせる形で取り付ける「カバーオン方式」の4つがあります(それぞれ命名は私が勝手につけたものです)

Deadbolt交換方式の代表格、Level
(出典:amazon.com



取付方式の「全交換方式」についてはさらに2つに細分化されます。通常のカギの場合、ほとんどのケースでDeadbolt部分の穴しかドアに開いていないことが多いのですが、スマートロックは(特にPINパッド内蔵型の製品の場合)ドア外側に露出する部分が大きく重くなるためか、その構造を支えるためにもう一本長いネジを通す穴を必要とする製品があります。この場合、ドアにドリルで追加の穴をあける必要があり、賃貸物件の場合などで導入のハードルが上がりますのでご注意ください。だいたい、取付方法の動画を見ることで判別可能です。

Smonetのスマートロックの取付方法説明動画より。動画中央左の大きな穴が通常のロック用に開いている穴で、その上にドリルで小さな穴を開けるよう指示しています。




なお、現在のところ市販で手に入る家庭用スマートロックの給電方式はすべて電池式です。オフィス用途など商業物件用のものではドアに配線を通したりするような製品もあるようですが、往々にして高価であり家庭用には向きません。個人的には電池交換が煩わしいし、万が一不在時に電池が切れたら(だいたい切れるより1週間以上前にウルサイほど交換を催促されますが)大変なので、早くドア給電式の家庭用スマートロックが普及すると良いな、と思っています。




比較表

このような変数をもとに、主要製品の比較表を作ってみました。


スマートロック比較表
1.August 2.eufy Security 3.Smonet 4.Sesame 5.Level
価格帯
(定価ベース)
$220 USD~ $169 USD~ $149 USD~ $149 USD~ $171 USD~
開錠方式 物理キー、アプリ(オプションでPIN) 物理キー、指紋、PIN、アプリ 物理キー、指紋、ICカード、PIN、アプリ 物理キー、アプリ 物理キー、アプリ(オプションで指紋)
通信方式 Wi-Fi Bluetooth(Wi-Fiブリッジ$40オプション)or Wi-Fi Bluetooth(Wi-Fiブリッジ$40オプション) Bluetooth(Wi-Fiブリッジ$70オプション) Bluetooth
取付方式 サムターン交換 全交換 全交換 カバーオン Deadbolt交換




1. Augustロック

さて、最初に紹介するのがスマートロックの先駆けともいえるAugust。2013年に最初の製品が発売されています。
August Smart Lock w/ Keypad
(出典: august.com



Augustスマートロックは、ドアの内側部分のサムターンのみの交換式です。なので、今使っている物理メタルキーを交換する必要がなく、比較的軽微な取付工事で対応が可能です。

一方、当然ながらドアの外側には何らスマートな部分が露出しないため、単品では物理キー以外だとスマホアプリでしか開錠ができません。オプションのキーパッドを購入することでPINでの開錠も可能になりますが、こちらのキーパッドも電池式のため、電池の心配を2か所でする必要がある点が難点となります。

またSmart Lock Gen 4はWi-Fiにネイティブで対応(外付けのオプションなどが不要)なのですが、Wi-Fiという通信方式の特性上、どうしてもバッテリー消費が激しくなります。Amazonのレビューなどでも「1週間しか持たなかった!」などの声がありますが、Wi-FiはそもそもBluetoothなどと違い省電力性は低い規格なので、これは方式上やむを得ないと思います。

我が家の場合、息子がスマホを持っていないので、導入するのであればキーパッドも必須となり結果割高になってしまい見送っています。


2. eufy Security

次に紹介するのがモバイルバッテリーやUSB ACアダプターなどの製品で有名なAnkerのホームセキュリティブランド、eufy Securityの製品です。

eufy Security Smart Lock
(出典:eufy.com


全交換方式なので既存のカギは全て取り外すことになります。ただし、この製品は追加のネジ穴を開ける必要はありません。また、物理キー、指紋、PIN、アプリと幅広い方式に対応しており安心感が高いです。また、接続方式もBluetooth、WiFiどちらにも対応できます。

価格も手頃で買いやすい製品ですが、Amazonのレビューなどを見ていると、指紋を認識しなかったり、寒い環境下(セ氏で5度未満など)だとタッチパネルが反応しない、といった問題は報告されているようです。やはり物理キーでのバックアップは重要ですね。


3. Smonet

Smonet。この製品も追加のネジ用の穴が必要
(出典:amazon.com


続いて紹介する製品がSmonetのスマートロック。この製品も全交換方式、追加のネジ用の穴が必要なのですが、他の製品にはない特徴として「ICカードによる開錠」が可能です。ICカードは製品に付随してくる小さなタグのような形状で、ロックにかざすだけで開錠できるようです。もしICカードを失くしてもアプリからカンタンに無効化できるようですので、子供向けなどには便利なのではないでしょうか。

ICカード(左上のもの)



4. Sesame

次に紹介するのは少々ユニークな製品です。Sesameは台湾出身のファウンダーが作ったスマートロックで、既存のカギを取り外すことなく、後付けでスマート化できる製品です。


Sesame lock。ボイスアシスタントに「Open sesame(開けゴマ)」と言えるのはなかなか気持ちよさそうです。
(出典:Amazon.com


ドアの内側のサムターン部に、上からかぶせる形で両面テープで取り付ける製品です。設置もカンタン、難しいこともないので賃貸物件でも導入しやすい反面、ドアの外側には何も露出しないので、開錠方式が物理キーかスマホアプリに限定されてしまう難点があります。

我が家の場合は息子に物理キーを持たせたくない、という動機があるため、残念ながら採用できません。一方、この製品に対応するバッテリー駆動式のナンバーパッド(August付随品のような)ものが出ると、とても使いやすく人気が出るだろうに…と思うのですがね。CANDY HOUSEさんいかがでしょうか。



5. Level

最後にご紹介するLevelも非常にユニークな製品です。Deadbolt部分にスマートな機能を全て押し込んでしまった製品で、ドア形状などに左右されることなく設置が可能、しかも対応製品はドア外の物理キーを取り囲む部分に指紋センサーを搭載しており、見た目は普通のシリンダーなのにスマートロック、という製品です。

Level deadbolt。電池も内蔵しています
(出典:Level.co

電池の交換は、Deadboltをドアから外さずに対応可能。ドアを開けた状態でDeadboltをロック状態(ドアからにょきっと出た状態)にしてカバーを手で回すことで交換可能なようです。


Level Smart Lock
(出典:level.co

シリンダー全体を取り換えられれば、シリンダーカバー部に指紋リーダーを追加でき開錠方法が増えます。難点があるとすると、製品があまりに小さいためアンテナを大きく取れないためでしょうか、電波の届く範囲がかなり限られてしまうようです。



製品選びの注意点


さて、上記のような製品特徴を踏まえて、製品選びの注意点をまとめてみます。

1. どんな開錠方式に対応しているか

Amazonのレビューなどを見ていると、指紋は読み取りにくいこともあるようです。人によってはiPhoneのTouch IDで似た経験をされた方もおられるかもしれません。指紋は万能ではない、ということは知っておいて損はないかと思います。

またナンバーパッドはタッチ式だと寒いときに認識しづらいようです。Schlage社やKwikset社はプッシュボタン式のナンバーパッドを採用しており、安心感があります。

今回は紹介していませんが、物理キーに対応していない製品もありました。私の家内は強く物理キー対応を希望しており、理由を聞くと「万が一電池が切れてたり電波がうまく届かないなどがあってもちゃんと家に入れること」を理由に挙げていました。それもゴモットモもな話かと思います。


2. 通信方式は断然Bluetoothを推奨

現在市場で販売されている住宅用スマートロックは、ほぼBluetoothかWi-Fiのどちらかでの通信となります。ただ、通常Wi-Fiは消費電力が大きく、電池駆動製品には向きません。電池が切れると物理キーしか使用できなくなるスマートロック製品においては、Bluetoothの省電力方式を採用している製品を強くオススメします。



3. 取り付けるドアによる制約

私のように賃貸物件に住んでいる場合、ドアに追加の穴を開けることなどできません。また、ドアロックの設置位置はそこまで標準化されているわけでもなく、取付可能な範囲や穴のサイズなどに制約があることが多いようです。このため、購入前にご自身の家のドアに取り付け可能かどうか、ロック周りのサイズを計っておくことをオススメします。


オチ

さて、そんなこんなで調査をした結果、私の自宅用のスマートロックも購入直前までいったのですが…我が家のアパートは賃貸物件であり、万が一の際に管理会社が立ち入る必要があるということで、既設のロックの交換や追加のカギの設置が禁止されている旨が賃貸契約書に書かれていました。よって、我が家のスマートロック化は無期延期…というオチでした。ちゃんちゃん。

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