在外邦人のマイナンバーカード作成についてのアレコレ

1. 国外転出者用のマイナンバーカードを取得してみた 



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とある事情から既に取引のある日本の金融機関と追加の金融取引をしたくなり、その金融機関からマイナンバーカードを提示するよう求められました。

調べてみると、令和6年(2024年)5月27日より、現在マイナンバーカードを持っていない海外在住者(2015年10月5日以降に国外転出をしている方に限る。)もマイナンバーカードの申請ができるようになっていました(マイナンバーカード総合サイトより)。

持っていたら便利だろう、ということから、これを申請してみようと考えた次第です。ただ、住民票を入れることでいくつかの「義務」、例えば納税の義務も生じます。これらの、在外邦人が抱える諸々の懸念、心配についても調べてみました。


2. マイナンバーカード、マイナンバー、住民票の関係

マイナンバーカードとは:

マイナンバーが記載された顔写真付のカードのことです。本人確認のための身分証明書として利用できるほか、自治体サービス、e-Tax等の電子証明書を利用した電子申請等、様々なサービスにもご利用いただけます(マイナンバーカード総合サイトより)。

また、冒頭の経緯にもあるとおり、納税に関わる個人IDとしても機能すること、金融犯罪抑止の観点などでしょう、日本の金融機関は取引に際してマイナンバーカードの確認を求められるようです。

マイナンバーカードの取得にはマイナンバーが割り当てられている必要があることが分かります。

ではマイナンバーとは何か?:

マイナンバーとは行政を効率化し国民の利便性を高め公平公正な社会を実現する社会基盤です。 住民票を有する全ての方に1人1つの番号をお知らせして、行政の効率化、国民の利便性を高める制度です。(マイナンバーカード総合サイトより

「住民票を有する全ての方に」とある通り、住民票登録がある人が前提であることが分かります。

では住民票とは?:

市町村がその区域内に住む住民について、住所・氏名などを記録したものが住民票です。(岐阜県山県市のサイトより)

公的機関からのサービスを受けたり選挙権を行使するために必須で、「生活の拠点が移った場合には転入届を出す義務があると住民基本台帳法にて定められています。かつ、届け出を怠ると5万円以下の過料も発生するようです(総務省サイトより

この「生活の拠点が移る」という点に明確な基準は法律では示されていないようで、多拠点生活をしている場合の考慮が曖昧ではありますが、いくつかの転勤支援サービスのWebサイトには「1年未満や学生の一人暮らしなどの場合は移さなくてもよいとされている」との記述があります。おおよそ1年以上滞在するかどうかが基準の一つにはなるようです(実際、私が神奈川県横浜市で住民票を入れた際にも、そのような趣旨の確認が口頭でありました)。ただし、この基準については法的に明確な線引きがあるわけではないことを付記しておきます。

3. 納税義務など - 住民税と国民健康保険

住民税

住民税は、X年1月1日に日本に住民票があった方について、X-1年の1月~12月の所得に対して課される税金とのことです。例えば東京都板橋区のサイトには、以下のような記述があります。

住民税は1月1日(賦課期日)現在、板橋区に住所があり、前年中の所得金額が一定額以上ある方に課税されます。

また東京にある税理士法人のWebサイトには、以下のようにも書かれています。

住民税は1月1日時点で日本に住所があれば、支払義務があり、前年度の1月から12月の日本国内で発生した所得に対して課税されます。したがって、海外から帰国した日が1月2日だった場合、1月1日はまだ海外にいるので、その年度、つまり帰国日から帰国した年の12月31日までの期間は住民税の支払い義務がない、ということになります。

つまり「住民票を入れる」=「直ちに住民税の納付義務が生じることはない」ということです。

国民保険

厚生労働省の「国民健康保険制度の概要」には以下のように書かれています。

国民健康保険制度は、原則として被用者保険等の適用者以外の国民すべてを被保険者とし、その 疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な給付を行い、社会保障及び国民保健の向上に寄与する ことを目的とする。

この「国民」の定義が必要ですね。

一方、厚生労働省のWebサイトには以下のようにも書かれています。

日本国内に住所を有する方であって、以下のいずれにも該当しない方は、国民健康保険の被保険者となります。・ 他の医療保険(健康保険)に加入している方、その被扶養者・ 生活保護を受けている方・ 後期高齢者医療制度に加入している方・ 短期滞在在留外国人の方 など

また宮崎県宮崎市のサイトにはこう書かれています。

国民健康保険は、原則として住民票のある市町村で加入していただくことになりますが、修学や施設入所のために住民票を異動した場合は、申請により、引き続き前住地の保険証を使用することができます。

住所を有する方が加入が必要=住民票がある場所で加入、と解されるようです。従って、住民票を入れ、企業の福利厚生による健康保険などがない場合には、国民健康保険には自動的に加入することになり保険料の支払い義務は生じるようですね。もちろん、逆に、加入することで健康保険を適用して医療機関にかかることができるようになります。

国民年金

在外邦人にとっては国民年金も関わってきますが、こちらは任意加入により住民票がなくても継続可能だったりするため少し毛色が異なります。今回は割愛します。

4. 私の状況

私は一番最初に海外赴任したのは2014年のことで、当時マイナンバーはまだ制度がなく、その時に住民票を抜いたためマイナンバーを受け取っていませんでした。一方、その後2022年に一度住民票を入れる機会があり、そこでマイナンバー自体は割り当てられたことを確認しています(その後、事情によりまた国外転出届を提出しています)。

このため、私は「2015年10月5日以降に国外転出届を提出している」という条件を満たすことになり、今回マイナンバーカードを申請できました。

5. 申請の記録

以下、この申請の過程を記録しておきます。


2025年7月19日

マイナンバーカード総合サイトから申請用紙をダウンロードし、手書きで記入。暗証番号(と言う名のパスワード)を手書きで他人に見える形で書かなければならないことに強い心理的抵抗感を覚えつつ、やむなしと割り切って書類作成

2025年7月22日

品川区役所にて書類を提出。この際、記録がなく分からなかった「国外転出日」を空欄のままにしておいたところ、区役所の窓口で受付をしてくれた女性から「この日付が分からないと申請できないのですが…」と言われて焦る。

スマホでメールの履歴などを検索しても、それらしい日付がでてこない。戸惑っていると「免許証をお預かりして良いですか?調べてみます」とのこと。しばらくすると日付を代理で記入してくれて、無事に埋まりました。

※なおこの点については家人が在外公館マイナンバーカード総合サイトのお問い合わせフォームから問い合わせたところ「分からなければ空欄で良い」との回答を得たようです。しかしながら実際に領事館を通じて空欄で申請したところ「空欄だと申請できないからだいたいで良いので日付を教えてください」と領事館から言われたとのこと…。運用が統一されていないのでしょうかね。実際のところ、間違っていたら自治体側で修正してくれるそうなので、本当にざっくりで良いようです。


窓口が空いていたためか書類の提出は10分ほどで終わり、「発行まで2〜3ヶ月かかります、出来上がり次第、指定の連絡方法で連絡します」とのこと。

2025年8月19日

東京都品川区役所戸籍住民担当より、マイナンバーカード交付の準備が整ったとの連絡をメールで受け取る。メールには受取には予約不要、書類の印刷不要と書かれています。

品川区役所戸籍住民担当からのメール


2025年8月20日

東京都品川区役所戸籍課マイナンバー特設会場を訪問。受付にて「マイナンバーカードができたとメールで連絡を貰ったのだが」と伝えると「ハガキはお持ちですか?ご予約していますよね?」と聞かれる。交付準備が整ったとのメールに「予約は不要です」と記載があったのでその旨伝え、スマホでメールを見せると「確認してまいります」とのこと。確かに通常のマイナンバーカードの受け取りは予約が必要、かつ最短でも7営業日後との記述が掲示されており、それは私がメールで受け取った趣旨と異なっています。おそらく、予約不要なのは国外転出者用のみなのでしょう、国外転出者用が一時帰国時にも受け取れるように短期間で渡せるような制度配慮が見られます。

しばらくすると番号札を渡され、座って待つように言われる。1分もたたないうちに呼ばれ、パスポートと運転免許証を見せる。「交付の案内の用紙などお持ちですか?」と聞かれ「メールしか案内を受け取っておらず、そこにプリントアウトも不要と書いてあるのだが?」と伝えると「そちらで問題ありません」とのこと。

このあたり「国外転出者用マイナンバーカード」が特殊なのでしょう、受付担当者も慣れていない様子。時折渡される案内資料なども「国外転出者向け」などとハイライトされているので、受付などの時には「国外転出者用のマイナンバーカードの件で…」と切り出すことでスムーズな応対が可能になりそうな気配。

しばらくすると免許証とパスポートを返却され、マイナンバーカードを見せられつつ「お名前、生年月日をご確認ください」と言われる。問題ない旨を伝えると「マイナンバー通知交付書はお持ちですか?10年ほど前にお渡ししているはずですが」と言われ戸惑う。確かに5年ほど前に住民票を入れた際にマイナンバーが発行されたのだが、その時のことは明確に覚えていて、その時には戸籍謄本でマイナンバーを確認したのみで通知交付書は受け取らなかった。それの発行までに時間がかかるから…というような理由で後日取りに来る、と言った後、それを受け取る前に住民票を抜くことになってしまった、という顛末。取り急ぎ回収のための提出はしなくて良い模様。

券面内容の確認後、「事務手続き後にお渡ししますので待合室で座ってお待ちください」と言われ待つこと15分ほど。改めて呼ばれブースに着席、カードを受け取り、受け取り確認書類にサインして終了。滞在30分ほどで出ることが出来ました。


なお、裏側の券面にあるマイナンバーは、私が過去に住民票を入れた際に付与され、転出届を提出して無効化されたそのナンバーそのものであることも確認できました。


もし今後、国外転出者用のマイナンバーカードの取得を検討される方の参考に少しでもなれば幸いです。



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