2023年9月 失効した運転免許証の更新顛末記
けっこう大変ですよね
海外在住日本人にとって、運転免許証の維持・更新は大きなトピックです。
チケットぴあなどの各種オンラインサービスや携帯電話契約の本人確認(eKYC)において圧倒的に使いやすい身分証明書であり、時にはパスポートを受け付けてくれないサービスもあったりするくらいですが、当然ながらオンラインや郵送での更新は出来ず、免許センターや警察署を訪問して対応する必要があるので、在外邦人にとってはなかなかのハードルです。
あまりに大変なので、日本のオンラインサービスのアカウントや携帯電話契約を持たない人は維持することを諦める…という選択肢も充分に検討したくなるくらい、大変です。
期限が切れる前に更新を行うのが一番なのですが、私のように、やむを得ない事情で失効してしまった場合の「在外邦人のための」手続きガイドがイマイチ親切なものがないので、私の体験をもとにまとめておこうと思います。
なお、以下は神奈川県の事例であり、他の自治体の場合には事情が異なる可能性あります。あくまでご参考程度に。
結論
なお、出鼻をくじくようで恐縮ですが、手続きの煩雑さを回避するのであれば「失効する前に更新する」のが一番です。この点について強調しすぎることはないでしょう…。
必要書類も最も少なく、手続きも簡素で、ゴールド免許の場合もそのままゴールドで更新可能です。期日前であっても海外在住者であれば、有効期限が少し短くなるというデメリットはありますが、期日の半年前などでも更新は可能です。
免許証に記載されている住所に一時帰国で滞在し、その住所を管轄する自治体にて期日前に更新するのが最もラク。このため、海外赴任・移住時に免許証の住所をどこにするかが極めて重要になるわけですが。その件はこちらのポストにて。
で、万が一失効してしまったときのために
- 日本の出入国スタンプは両方、毎回もらっとけ
- 日本から出る際に、一時帰国時に滞在するところに本籍を移しとけ(戸籍謄本があると便利で、それを取りやすくするため)
が結論です。
在外邦人が失効した免許を更新する手順
で、在外邦人の免許証更新手続きについて。
対象を在外邦人=住民票を日本の自治体に入れていない人に限定すると、こういうことになるようです(情報ソースはこちらの警察庁サイト)。
免許更新手続きフローチャート(クリックで拡大) |
在外邦人あるあるは B、E または G
今回の私のケースはEに相当しますが、在外邦人あるあるは以下3つかな、と思います。
B. 期日前更新
E. 試験免除更新
G. 新規取得 or 外国免許切り替え
B. 期日前更新
Bの期日前更新は、今回の一時帰国では失効していないが次回になると失効している可能性大なケースですね。この場合、今回の一時帰国の離日便、つまり日本から海外に戻る航空券があればBに該当することを証明できます。前回、2018年に私はこれで更新しました。
期日前更新をすると、前年の誕生日に更新したような扱いになるため残念ながら有効期限が少し短くなるのですが、それでも必要書類の数が少なく、手続きが圧倒的にカンタンです。本稿のメインではありませんが、Eとの比較のために列挙すると…
- 更新申請書(現地で書くもの)
- 現在の免許証
- 申請用写真1枚(6ヶ月以内に撮影したもの)
- 海外旅行等やむを得ない理由の事実を証する書類(離日便の航空券とか)
- 講習終了証明書等
- 手数料
戸籍謄本とか滞在証明とか、役所に行かないと取れない書類が一切不要で、ほぼすべて更新手続きを行う場所で取得可能ですね(写真だけ駅の証明写真機とかになるかもですが)。
カンタンですね。
E. 試験免除更新
今回の私がEに該当します。神奈川県陸運局の説明によれば以下を揃えて手続せよとのこと。
- 失効した運転免許証 …a
- ない人はパスポートなどの身分証明書
- 失効日前後の出入国のスタンプがあるパスポート(入国だけではダメ)
- または準ずる記録 …b(後述します)
- 本籍記載のある住民票
- 住民票を入れていない人(海外在住者)は代替として以下を用意
- 戸籍謄本(本籍がわかるもの=本籍地で取る必要あり)…c
- 本籍が記載された住民票の除票記録(前に住民票を入れていた自治体で取る)かつ
- 一時滞在先証明書(フォームをダウンロード可能)かつ
- 一時滞在先証明書を書いた人の身分証明書(免許証のオモテウラ、コピー可)
- (オマケ)海外で今から1年以上運転していることを示す書類(有効期限が1年以上の海外運転免許証など)
私の場合は以下でした。
- 失効した免許証は持っている …a
- 失効日前後の出入国スタンプがない …代替のbを模索
- 本籍地が今回の滞在地からやや遠いので住民票の除票記録で代替 …d
なお私は午後イチの訪問でスムーズに受付まで来たのですが、書類確認でbが不完全、dの最後(一時滞在先証明書を書いた人の身分証明書)の不足を指摘され、一度出直ししてます。その結果、めちゃ混みの時間に再訪となり列で1時間待ちました…南無。
失効日前後の出入国のスタンプがあるパスポート、または準ずる記録
さて、bの代替について。
実はこれ、なかなかにハードルが高いです。私が把握する限り以下3つの方法があります。
b-1. 出入国スタンプ
Image by brgfxon Freepik |
自動化ゲートを通る人は、日本への入国、日本からの出国ともに必ずスタンプを貰いましょう。これが最も手軽な出入国の記録です。無人化ゲートを通っても、必ず、必ず、入国も、出国も、もらいましょう。
私の場合、入国時の分は免税処理で使うのでいつも貰っていたのですが、出国時はもらったことがありませんでした…。
(ちなみに、その免税処理も令和5年からだいぶ厳しくなってしまい、使うのが大変になっています。こちらのブログにまとめています)
b-2. 航空券の記録
今回、私はこれを使いました。しかしながら、以下の条件を満たす必要があるそうです。
- 本人の氏名が印字されている
- いつ、どこを出発して、いつ、どこに到着したかが書かれている
これらを満たせば印刷物である必要はなく、画面で見せてもよいそうです。これが意外にクセモノです。私の場合、普段から搭乗券は紙に印刷せずスマホの画面で済ませていました。仮に印刷しても、到着後すぐに廃棄。
しかしながら、私がいつも日米線で使うUnited航空は、デジタルな記録は半年分程度しか残してくれません。それより前の記録は、支払いのレシートという形でしか閲覧できず、これには私の名前が印字されておらず、通常は上記の要件を満たしません。
航空会社によっては過去2〜3年分の記録を表示できるかもしれませんが、私の場合は「国際線に乗る際は必ず搭乗券を印刷し、使い終わってもそれを取っておく」必要があったようです。5年に一回とかの免許更新のためにそこまで用意周到になれるわけないです…。
私の場合、窓口の担当の方に事情を説明し、航空券のレシートメールをそのまま印刷、受取人(メールのTo欄)に私の名前が入っているので、それで認めて頂きました。担当の方の裁量に救われた形ですが、同じもので認めてもらえることが保証されるかは分かりません。
b-3. 法務省への出入国履歴の照会
これも免許センターで案内される方法なんですが、これ、相当ハードル高いです。今回このブログ記事の執筆のために、話題づくりも兼ねて一瞬申請しようかと思ったんですが…。
こちらの法務省のページに概略の記載があります。要約すると、
- そもそも即日発行できず、申請から発行まで数週間かかるケースもある模様(もうこの時点で在外邦人はお話になりません)
- 郵送申請も可能だが、返送用封筒をこちらが用意する必要があり、かつどんなボリュームの種類になるのか分からないので多めに切手などを用意する必要あり
- 戸籍謄本やパスポートのコピーなど、本人確認書類を用意する必要あり
短期の一時帰国では記録を受け取れない可能性があり、あまり現実的ではないようです。
一方、こちらの顔認証ゲートの更なる活用についてというページには
ただし、出入(帰)国の証明を緊急に必要とする次の事情がある場合には、出帰国手続を行った地方出入国在留管理官署(出入国在留管理局のウェブサイトへ移動します。)にお問い合わせください
という記載もありますので、もしかしたら空港の出入国審査部門に問い合わせれば何かしらの対応をしてもらえる可能性はあります(が、未確認です)。
よって、この b の書類については、出入国スタンプを毎回もらうようにするか、航空券をコレクションするか、のどちらをしておいた方が良い、ということになるわけです。
(オマケ)海外で今から1年以上運転していることを示す書類
これ、警察庁や神奈川県のサイトには明示されていないんですが、あると優良運転者(つまりゴールド免許)認定される可能性が上がります。私のケースでは、カリフォルニア州の運転免許証。ただし私は2023年にカリフォルニア州の免許も更新されているので、過去分も必要。
これが大チョンボで、事前に友人から「必要だよー」と言ってもらっていたにも関わらず家に忘れて飛行機に乗ってしまいました。ダメ元で家に残っている家族に写真に撮ってもらい、日本で印刷して持っていったらOKしてもらえました。危なかった…。
そして結論再び
と、いうわけで、私なりの結論の再掲です。
- 日本の運転免許証を維持したいなら(期日前でもいいから)失効させるな
- 失効させてしまったときのために以下はやっておけ
- 1. 日本の出入国スタンプは両方、毎回もらっとけ
- 2. 日本から出る際に、一時帰国時に滞在するところに本籍を移しとけ(戸籍謄本があると便利で、それを取りやすくするため)
現場からは以上です。あー疲れた…。