クルマは意外と賢かった、という話 Vol.1 - こんなこと分かっちゃうんだ編

Your car is smarter than you think

Automaticドングルと、アプリ。実は色々分かるんですクルマのこと。

せっかくシリコンバレーというエリアに住んでいるので、世界が変わろうとしているキッカケの部分を体感しておきたいなぁ、とずっと思っていまして。


モノと何かを上手に繋げて、今まで出来なかったことをヒョイっと出来るようにする…みたいなことがやってみたいなと色々見ていた時に見つけたのが、このAutomaticというデバイスです。

ここから数回に分けて、Automaticを中心にクルマ回りのかるーいHackレポートをお届けします。
「クルマは意外と賢かった」一連のシリーズはこちらからご確認ください。


何が出来るの?


私もこのデバイスを知ってから学んだのですが、どうやら最近流通しているクルマのほとんどにはOBD2ポートというものがあり、そこに適切な機器を繋ぐと車載コンピューターから色々な情報を得られるようです。
Wikipediaによれば、日本で販売されているクルマも2008年以降のものなら対応が義務付けられているとのこと。

クルマのメンテナンスエンジニアの方が、そこを通じてエンジンの情報などを調べるのでしょうね。

このAutomaticは、そのOBD2ポートに接続し、Bluetooth経由でスマートフォンにクルマが持つ情報を送ることができます。そして、スマートフォンからAutomatic社のWebサイトにもデータが送られ、パソコンからもブラウザ経由でドライブ記録を見ることが出来ます。


これそのものは現在アメリカでしか手に入らないようですが、似たようなモノが日本でもクラウドファンディングで販売されようとしています


どんな良い事があるの?


まだ使い始めて1週間も経っていませんが、今のところこんなことができています。

1. 実燃費が分かる、燃費改善アドバイスをくれる

走行距離および消費燃料量から燃費を計算してくれます。

AutomaticのAndroidアプリより。右下のMPGが燃費(Miles per Gallon)。ちなみに30.1MPGは約12.8km/l。

今まではガソリン補給後に、トリップメーターの数字を補給ガソリン量で割ってなんとなくアタマの中で算出していたのですが、これで一回のドライブごとに燃費が分かります。

これが結構面白くて、高速道路中心だとびっくりするくらい良い数字が出たり、逆に街乗りだと効率悪い…みたいなのが如実に出ます。

例えば、私が自宅からサンフランシスコの職場まで23マイル、約37kmほどをドライブしたときのこと。

AutomaticのWebで見る、自宅から職場まで。普段は電車通勤なので運転しないんですけどね。

走行距離の8割ほどを高速道路で済ませられるため、30.1MPG, 12.8km/lという、カタログ公称値(21-28MPG)より良い数字が出ました。

一方で、友人に誘われて近所に食事に出たときのこと。


近場のレストランまで。2.4マイル、約3km弱の距離です。
こちらはガクンと落ちて22.1MPG, 9.4km/lという数字。なるほどねー、街乗りはやはり効率悪いのねー、という感じです。


2. 自分がどのくらい燃費に良い(あるいは悪い)運転をしているかが分かる

Automaticアプリにて、ドライブ記録を見たところ
どうやって取っているのかは不明ですが、何らかの判定ロジックに基づいて検知しているんでしょうね。急ブレーキ、急加速、時速70マイル以上出した区間がなかったかを表示してくれます。

急ブレーキ急加速はガソリンの無駄遣い。そして時速65マイル以上になると、リッターあたりの効率が悪くなると解説されています。それらがあれば、「どの地点で急加速したか」とか「どの区間で70MPHを超えたか」などを表示してくれます。今後そこを通るときは気をつけようねー、ということでしょうか。


3. ドライブ記録をオンラインに残せる

先ほどもご説明しつつスクリーンショットを乗せたように、Automatic社のWebサイトにログインするとアプリで見た記録がすべて出てくるんです。

アメリカでは自家用車で社用をこなすことも多々あります。その際に経費申請などもするわけですが、この記録があれば一発で申請できちゃいます。いちいちGoogle mapsで地点間運転距離を測って…とか、ドライブ前と後のオドメーター記録して…なんていうことをする必要はありません。

セキュリティ?まぁ、気にならなくはないですが、この便利さと引き換えならそのくらいのリスクは取っても構わないと思っています。自宅と職場がバレるくらいだし。そんなの、その気になればすぐ調べられるしね。


4. エンジン異常ランプが点いた時に、一歩踏み込んだ情報が分かる

これはまだ私は遭遇したことはないんですが、みなさんのクルマにもありません?エンジン異常を示すランプ。

エンジン異常を示すランプ。私はまだ点灯させた経験はないですが…
説明書によれば、このランプが点灯した際により詳細な情報をアプリに表示させることが出来るんだそうです。通常はメカニックの方が専用のコンピューターを繋いだりして情報を得るところ、情報表示まではスマートフォンで済ませてしまうことが出来る。これだけでも安心感が全く違うと思います。

これが点灯したときに、果たして修理工場まで自分で運転していいのか?あるいはレッカーを呼んだ方がいいのか?そのくらいの自己判断ができるだけでも、十分なメリットがあると思います。


5. 事故にあった時などに、自動的に指定した連絡先に通知を出せる

もちろん、事故にあってAutomaticが壊れてしまったり、スマホが吹っ飛んで行ってしまっては実現できないと思いますが…
家族や身内、友人などの連絡先を登録しておくことで、自動的にその人に「事故っちゃった!」という連絡ができるそうです。


事故検知時の連絡先を設定

Automatic本体にGPSが搭載されているようなので、事故発生時の場所まで含めて通知が行くとのこと。これだけでも相当心強いです。


6. IFTTTと繋がる

さて、私の本命はこれです。

IFTTT(イフト、と読みます)がどんなものか、詳細はほかに譲りますが(こことかわりと分かりやすいです)、これを使ってAutomaticで得られる燃費やら走行距離データ、あるいはドライブ開始・終了といったトリガーをIFTTTに通知できてしまうんです。


「それ、何が嬉しいの…?」という疑問を持ったあなた。


とっても正しいです。それは今から考えます(笑)


まぁ、Hackなんてそんなものです。色々トライしているうちに、どれかひとつくらい幸せになれるものが見つかる…と、いいな…と思いながら、そのトライそのものを楽しんでしまおうかな、と。

手段が目的になってしまっていますが、いいじゃん。趣味なんだから。


結論

意外とクルマ自身は色々な情報をちゃんとデータで把握しているんだなぁ、と感心しきり。Automaticでは取得できませんが、他社のOBD2ツールではトルク、加速、速度など、各種センサーやアクチュエーターの生データに近い数字を取れるものもあるようですよ。


さて、「クルマは意外と賢かった」シリーズの予告です。
今回はVol.1としてAutomaticの簡単な紹介をさせて頂きました。
Vol.2にて、たぶんあまり多くの人は興味ないであろうセットアップ編を記録に残し、Vol.3にてIFTTT経由で他のサービスに連携させて遊んでみようと思います。


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